研究紹介

【研究テーマの概要】 移動通信・無線通信に関する以下の技術の研究
  1. 無線暗号・セキュリティの研究

    無線通信では全ての情報は無線チャネル上で伝送されます。送信点と受信点がケーブルによって接続される有線信号伝送では、信号は限られた範囲にのみしか受信できません。それに対して無線による信号伝送は、信号が到達するエリア内の全ての受信者が受信可能です。つまり、受信者・受信位置を限定することが基本的に不可能です。ここに、無線通信特有のセキュリティ上の危険性が存在します。たとえば、無線LANでは通信情報の盗聴が問題となっていますが、これは無線通信におけるセキュリティ問題の典型的な一つの例です。当研究室では、この問題に対する技術を研究しています。一般にこのような盗聴に対するセキュリティ対策技術としては、暗号化により情報の傍受・漏洩を防ぐ方法が用いられます。この暗号化のためには送受信機間で盗聴者に対して秘密となる秘密鍵を共有することが必要となります。当研究室では、この秘密鍵共有に着目し、無線通信の特徴である無線チャネルの可逆性(相反性)を利用して、無線チャネル上で鍵の情報を伝送せずとも送受信機間で秘密鍵を共有できる新しいメカニズムを考案しました。この方式について、伝搬環境を想定した計算機シミュレーションや無線実験を実施し、その性能を定量的に評価しています。さらに、このような無線チャネルの特性を、他の各種セキュリティ技術に応用し、新しいタイプの無線セキュリティ技術の研究・開発に取り組んでいます。たとえばその例として、無線通信における秘密情報伝送技術や無線ステガノグラフィ技術などがあります。

    キーワード

      無線通信伝搬路の可逆性と局所性に着目した秘密鍵共有方式

      MIMOなどの新しい無線伝送システムを活用した各種秘密通信技術

      カオス通信

    伝搬路の特性を活用した秘密鍵共有方式
  2. 次世代移動通信システム・技術

    移動通信の分野では10年程度を一つの単位として世代更新が続いており、第四世代移動通信システム(LTE-Advanced)のサービスが既に開始されています。また、さらなる高速・大容量・高信頼性・ハイレスポンスを目指した第五世代の移動通信システムの研究開発が世界的にも行われています。IoTに代表される無線通信サービスの利用範囲の拡大に伴って通信量の大幅な増加は必須となり、第五世代移動通信では、第四世代に対して約1000倍の通信容量を実現する超大容量ブロードバンド通信が必要と言われています。また、「いつでも、どこでも、誰とでも」という表現に象徴されるようなユーザーにとって使いやすいフレンドリーな通信を、気軽に使えるような低コストで提供するような技術を実現することも大きな課題となっています。これらの課題に対して当研究室では、次世代移動通信における各種基盤技術の研究開発を進めています。これらの研究は、限られた周波数資源の中でブロードバンド無線伝送を行うための方式について基礎研究を行うものです。具体的には、OFDMやMIMO等の伝送技術およびその関連技術を研究対象としています。これらの方式について、新しい技術を考案し、それを計算機シミュレーションによって性能を定量的に評価し、その有用性を確認しています。

    キーワード

      MIMO

      OFDM

      干渉アライメント

      コグニティブ無線

    次世代移動通信システムにおけるMIMO技術
  3. 電波伝搬、端末位置推定技術

    近年自動運転技術の検討が盛んに行われています。また、自動車が相互に通信する車車間通信の研究開発も進められ、一部で実用化されています。これらの技術は安全運転の支援が大きな目的であり、たとえば交差点に車両が進入する際に見通し外となる車両が相互に通信しあうことにより、出会い頭の事故を防止するようなアプリケーションが想定されています。このような安全を目的とした無線通信には高い信頼性が求められますが、その基本となるのが、伝搬特性の把握・モデル化です。つまり、無線電波がどの程度の距離まで十分な信頼性で到達可能であるのかを明らかにすることは、安全を支援する通信には必須となります。当研究室ではこのような、電波伝搬特性の解明に関する研究を行っています。対象となる無線通信としては、前述の車車間通信の他、携帯電話などの移動通信や無線LANに代表される屋内通信など無線通信一般です。また、近年、無線通信はその本来の目的である通信用途以外に、多くの関連技術に応用が進められています。その代表的なものは端末の位置検出です。IoTなどの新しいサービスでは、端末の位置情報が必要となります。これを無線通信の電波を用いて実現する技術の検討を行っています。また、その他、他地点の電波伝搬特性を推定する技術や伝搬特性をより能動的に変化させて無線通信特性を改善する技術などの基盤技術に関する検討を行っています。

    キーワード

      伝搬特性の解析・モデル化

      端末位置推定技術

    車車間通信(出会い頭事故防止)